最近、オーダーシャツの需要が急速に高まっています。そもそも、シャツをオーダーで仕立てる機会は、人生に一度あるかないか程度の特別なものでした。それは、オーダーシャツの仕立て賃がかなり高額に及ぶものだったからです。当然、手慣れた職人が精魂こめて時間をかけて仕立てるわけですから、縫製工賃は高くなってしまいます。

また、仕立ててもらう側は、そのように手間をかけて作るのですから、せっかくならば上質な生地を使いたいという気持ちにもなります。すると、上質な生地で時間を費やして製作するために、縫製工賃も生地代もともに嵩んでしまうわけです。しかし昨今、工場でも比較的安価にオーダーを請け負うことができるシステムが出来上がっており、ブランドによってはそれを利用したオーダーシャツの販売を展開し始めています。オーダーシャツが安価に作れるのであれば、自分のサイズや好みに合わない既製品を買う理由はありません。

これまでの消費者は、既製服に自分の好みや身体のサイズを合わせていく傾向がありました。しかしこれは本来、本末転倒というものです。もともと、着物文化を土台としている日本人にとっては、着物のように柔軟に自分のサイズに合わせられるような衣服に慣れ親しんでいます。そのため日本人には、シャツであってもやはり自分の思うようなサイズ感にぴったり合わせられることが求められているのです。

オーダーを受けられるブランドは今後ますます増えていく傾向になるでしょう。